整体という国家資格はない
「ボク、センセのような仕事をやりたいのですが…」
お元気ですか?! えんらくセンセ です。
時々、この様なご相談をいただく。嬉しい限りです。
お母さんからも息子に資格を取らせたいので・・などというご相談もいただく。
資格があれば喰いぱっぐれがないと思っているようです。
そんなことはないのですが、この仕事に憧れて足を入れる人口が多いのはいいことです。
進路相談は得意ではないが、職業柄、鍼灸師の方もいれば、学生の方も、また、これから治療家の道を目指して模索している方も相談されることがあります。
今回の相談者はこれから養成校入試を目指す高校生です。
今回は漠然と治療家になりたい!と考えている方へ向けての内容です。
現在鍼灸学校の学生や、すでに現場に出ている諸先生方もこのブログを読んで一考頂けると幸いである。
さて、治療家になりたいという相談者(A君:男子高校生)
「鍼灸専門学校へ行って資格を取って・・・」
資格をとってからどうしたいですか?
「マッサージ、整体を仕事にして・・・」
えー、整体の資格がほしいの?
「・・・・・」
業界の関係者の方!一緒に考えてみてください!!
これが私たちの世界を目指す人…
これが一般社会の認識なのだ!!!!
ではA君をはじめ、これから治療の業界を目指す方に説明したい。
私たちのような手技療法を専門にして開業する治療家が持つ国家資格といえば
- 医師
医師以外では
- きゅう師
- はり師
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
4つに限られるのです。
各国家資格についての説明は簡単にいうと・・・
・はりを使った施術をするのなら「はり師」
・お灸を使った施術を行うのは「きゅう師」
・あん摩、マッサージ、指圧で施術を行うなら「あん摩マッサージ指圧師」
・骨折や脱臼、捻挫、肉離れなどの外傷や急性疾患なら「柔道整復師」
である。
ちなみに、「鍼灸師」という国家資格はない!
資格としては「はり師」と「きゅう師」に分かれています。
それでも鍼灸師という呼び名で通りますし、我々もそのように呼んでいます。
※ちなみに「はり師免許のみ」「きゅう師免許のみ」という先生も中にはいます。
で、冒頭に戻ろう。
「マッサージ、整体を仕事にして・・・」
というのであれば
目指すべきは「はり師、きゅう師」ではなく
「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格である。
「整体師」という国家資格はない。これは知らない人が多いのだ。
整体院という看板を掲げているのはすべて国家資格を持たない人の店と考えていい。
もし持っていたら広告違反なのです。
それなのに整体の知名度が高い!
ココが問題なのです。
ただ世の中の人は「整体」という言葉の認知度が高いようなのです。
「芸能人が整体へ行ってきた」とか、マスコミも「噂の整体師」などと整体という言葉を普通に多く使っています。言葉の響き、イメージなのかも知れません
Googleの検索でもはり灸、指圧というワードを抜いてダントツ「整体」が上位なのです。
私の治療院には整体という言葉をどこにも書いていないにも関わらず、
「今、整体に来ているの」って電話している方
「センセ、整体お願いできますか?!」と言ってくる方
それはそれでいいのだけれど・・・
国家資格にこだわる先生は「うちは整体じゃない!」と怒る先生もいます。
多くの方は資格の有無にかかわらず、体を治してくれる先生を整体師だと思っているようです。
国家資格のある施術でも、施術方法は施術者によって百人百様なのです。
話を元に戻しましょう!
つまりA君が考えている仕事に必要な国家資格をめざすなら「あん摩マッサージ指圧師」の養成校へ行くのがベストになる。
ただし・・・A君が「はりもお灸もやりたいし・・・」と思っているのなら
はり師・きゅう師とあん摩マッサージ指圧師の資格取得を一緒に学べる
「本科(鍼灸マッサージ科)」をお勧めしたい。
鍼灸の養成学校によっては「はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師」の国家試験の受験資格を取得できるカリキュラムを揃えた「本科」と呼ばれる学科のある学校があるのでチェックしてほしい。
しかし、本科(鍼灸マッサージ科)は設置されている学校が少なく(全国で20校ほど)
当然ながら倍率は高くなる。
また、はり師・きゅう師国家試験受験資格を取得できるカリキュラムである「鍼灸科」と比較すると、やや学費も高く、また授業数も多くなる。
まとめると…
・「私、鍼灸師になって」⇒「マッサージや整体の仕事をする・・・」は矛盾している。
・入学する学校の学科が「専科(鍼灸科)」と「本科(鍼灸マッサージ科)」のどちらであるか確認すべきである。
・A君であれば、「本科」のある学校を選んでみてはどうか!!
その上で卒業後、資格を取得してから様々な技法、テクニック、医学を学んで行く。
もちろん在学時に並行して学んで行くという方法だってありです。
手に職を付けるとは自分に納得いく技術を身に付けるということなのです。
以上、私なりの見解をお伝えした。
このブログは「整体」を非難しているのではありません。
・整体は国家資格がないのでそれなりに「危ないこともある」という認識を持ってもらいたいこと。
・資格のある側からすると、あん摩マッサージ指圧類似行為をする彼らにも、最低限自分たちと同じ程度の規制を敷いてもらいたいと思っていること。
「私たち国家資格者は広告規制などがあるのに、無資格者は規制がないのでやりたい放題というのでは・・・」
技法、テクニックには様々の良いものもあるのだから、それを使うのは国家資格のある人に任せるのがベストだと思います。
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